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2008.11.15

「遭難、しました」柳美里

 『ののちゃん』は朝日新聞朝刊に掲載されているいしいひさいちの漫画。この15日の漫画は遠足で山登り、二つの学校がかち合わせ。向うに負けるなと先を急ぐあちらの学校の先生、ののちゃんの先生は「みんな、うしろにくっついていけば迷わないわよー」とのんびりムード。
 小学校の遠足で、湯河原から箱根の十国峠へ行ったことがあった。各自それぞれ自由に歩いていたのだが、級友たちと見事に道をまちがえたことがあった。先生はあせっただろう。雑誌『創』12月号に柳美里が、道を迷って遭難一歩前の状態というか、本人は遭難と言っているが、その顛末を書いている。尾瀬から物見山新道を経て奥鬼怒という行程。危ないからやめた方がいいという忠告を、無視したのだという。柳美里だから文章はおてのものだが、写真もたくさん載っている。何故そんなことになったのかということは、『創』を読んでもらうことにして。
 以前、児童虐待の疑いをかけられ、ネットの攻撃をみごと蹴散らした柳美里だが、その息子の写真もいくつか載っている。身長142cm体重54kgという太っちょ、柳美里と目許が似ている。露天風呂に親子2人、柳美里にうしろから抱かれて、嬉しそうな顔をして温泉に浸かっている写真もある。遭難騒ぎの翌朝に撮ったもの、前夜はちゃんと眠れなかったらしい。「けれど、眸を閉じて、意識が薄れると、あの圧倒的な闇のなかに引き摺り戻されてしまう。 / 息子も同じらしく、眠っているわたしの腕を揺すって起こしました。 / 結局、まんじりともせずに一夜を明かし、朝五時にふたりで露天風呂にはいりました」。 恐怖は助かった後からも襲ってくる。
 助かるかどうか、その最中のことはこう書く。「恐怖が、闇と静寂によって体内に叩き込まれて、動悸が激しくなる。 / 恐怖は、伝染する。 / いま、ここで、息子に泣き出されたら、ふたりで滑落するかもしれない。 / わたしは、乳母車を押しながら赤ちゃんだった息子に語りかけていたように、途切れることなくしゃべりつづけました。」
 だけど柳美里が、「北丹沢12時間山岳耐久レース」に出場しているほどの健脚とは知らなかった。私なんかはなから無理だと思っているので、出ようなんて考えたこともない。

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