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2008.06.20

青 緑

 「たんぼ」、姪の子ども(2歳2ヶ月)は憶えて間もないことばを口にする。幼児のコトバの習得はすごいと思う。中学生のころ英単語が憶えられず、そのまま今に至っている自分のことを考えると驚異である。幼児は文法も難なく自分のものとする。
 小学4、5年生の女の子が数人、おたまじゃくしをとっている。畦も今はコンクリート製、その上に乗って獲っている。昔はもう少し経つと、孵って間もない青蛙が、朝の農道を埋めていたものだが、田んぼ自体がちょこっとしか残っていない今、青蛙が希少種の感さえある。ところで青蛙は青色なのだろうか。田んぼの苗は緑色、私たちは緑色を青色と言ったりするが、どういうわけか青を緑とは言わない。苗を「青いね」と言った私に、2歳児は緑だとそれを打ち消した。幼児には緑を青と一緒にするあいまいさはまだない。この子は青蛙を緑蛙だと言うかもしれない。
 『日本の色辞典』(吉岡幸雄著・紫紅社刊)には、「青は、藍から緑へと大きなうねりをもって人間に見つめられ続けてきた。」と書かれている。この辺のところに、私たちが緑を青と言ってしまう素があるのだろうか。この『日本の色辞典』は青に属する色として43色も上げている。紺、浅葱、水、鉄紺、青鈍、甕覗、青黛、納戸、藍鼠、空、群青、ピーコックブルー、ベビーブルー、ナイルブルー …… 。どのような色か分かるものもあるが、読み方さえ分からないものものもある。甕覗は素直にカメノゾキで、「きわめて淡い藍色」という説明があり、藍鼠はアイネズで「藍色がかった鼠色、灰色がかった渋い青色」と説明されている。自然界にある色をすべて識別令名できるはずもなく、色の名前は人間がつくった色から付けられたものが多いという。「江戸時代に、公家、武家だけではなく、町人まで着物が広まっていくなかで、染屋が他の店との差をつけようと、色名と染め方にさまざまな工夫を凝らすようになり、おびただしい色名が登場する。」(前掲書)
 今まで見たなかで一番きれいだった色、そう思っている色が人にはあるのだろうか。私がそう思っている色は、槍沢の天狗原との分岐付近に咲いていたベニバナイチゴの花の色、である。7月ではあるが槍沢の大曲りより上はまだ雪に埋まっていた。ベニバナイチゴは水の近くというか湿ったところが好きな植物らしい。稲作にはもちろん水がなくてはならない。岩手・宮城内陸地震では、取水元の沢が土砂などで塞がれたり、水路が破壊されたりして、田んぼの緑が危うくなっているという。

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