期限切れ<添加物
埴谷雄高は刑務所が好きだったそうで、出ることになったとき困ったなと思ったという。もっとも独房であればこそ自分だけの世界に閉じこもることができたわけで、雑居房に入れられたなら刑務所好きにはならなかったかもしれない。刑務所では週に3回なにか買うことができる購求というものがあって、甘いものが好きであった埴谷は大福などを購求する。するとその日は食べられるが、翌日は大福と無縁となって甘いものが食べられない。そこで砂糖を注文し、本を読みながら砂糖をなめて、日がな一日過ごすようになったという。
大福は日持ちしないが砂糖ならその心配がない。大福ならぬ赤福は当初の話と違って、店頭に出た品も回収して再利用したということが明らかになった。昨日の今日で、赤福擁護をした者としては困ってしまう。それにしても露見したら壊滅的打撃を受けるであろうことが、容易に想像できるだろうにどうしてするのか、どうもよくわからない。防衛省の前次官だった守屋武昌は、軍需産業の役員と100回以上ゴルフをしていたということだが、これだって公になれば失脚するであろうことは誰だってわかる。それでもしてしまう。それが人間というもの、そう納得すしかないのかもしれない。
これは私の勝手な推測で根拠はないことだけど、食品に関しては製造する側にある種の感覚麻痺があるのではないだろうか。麻痺をもたらすものは食品添加物という魔物。ハムを作っている工場の工場長が、自社の特売用ハムはダメと言い、漬物会社の経営者が自分のところの漬物を食べず、レンコン会社の社長も同じ、餃子屋も豆腐屋も同じ(『食品の裏側』安倍司著・東洋経済)。
国が許可している食品添加物だから違法ではないが、作っている人たちが食べることを拒否するような食品が出回っている。こんな添加物が許されているのなら、期限切れ品を使っても問題ないじゃないか、むしろ添加物より安全だ、そんな風に思うことはないだろうか。
食塩の摂取量は1日10g以内、そうしなければ胃がんになりますよと脅される。食品添加物に関してはそんな話は聞かないが、矢張り1人あたり10gぐらい摂取しているという。食塩が人体に影響あるならば、添加物はそれに増してあるだろう。食のあり方がどこかで狂ってしまった。
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